【ファン・ジョンミン】俳優ファン・ジョンミンの魅力(後編)/ラジオ「ボリュームを上げます」

ラジオ「ボリュームを上げます」で
ファン・ジョンミンさんのことを話した回のご紹介、後編になります。

前編はこちらです。

【ファン・ジョンミン】俳優ファン・ジョンミンの魅力(前編)/ラジオ「ボリュームを上げます」
韓国KBSのラジオ番組「カン・ハナのボリュームを上げます」の中で、毎週日曜日に「俳優を学ぶ日曜日」というコーナーが放送...

韓国KBSのラジオ番組「カン・ハナのボリュームを上げます」の中で、
毎週日曜日に「俳優を学ぶ日曜日」というコーナーが放送されています。
一人の俳優を取り上げて語るコーナーになっており、
有名な映画記者、批評家のペク・ウナさんがその俳優について語っています。
「俳優を学ぶ日曜日」とペク・ウナさんについては、
前回の記事をご参照ください。

ちなみに、KBSラジオ「ボリュームを上げます」のサイトはこちらです。
ジョンミンさん回は2020年6月21日放送分になります。
PCのサイトではすでに聞けなくなっていますが、
ポッドキャストではまだ聞けますので、検索してみてください。

강한나의 볼륨을 높여요
는 1995년부터 시작한 저녁시간대 쿨FM 대표 프로그램으로, 그 동안 이본, 최강희, 메이비, 유인나, 조윤희, 김예원, 악...

 登場人物とのシンクロ率100%

まず、俳優ファン・ジョンミンについて語る中、
ラジオの視聴者からこのようなメールがありました。

ファン・ジョンミンの演技は演技ではない、
その人物とのシンクロ率が100%に思えます。
田舎者として出る時は、本当に田舎で農業している田舎者のようだし、
ごろつきとして出る時は、本当にごろつきの兄貴のようです。
ファン・ジョンミンだけが持つ、劇中の人物の中に入り込む秘訣は何なのか気になります。

これは本当にその通りなんですけど、
厳密に言うと、ファン・ジョンミンさんの場合、
一般的な俳優論で言われる「その役になりきる」というのとは少し違う気がします。

このメールに、ペク・ウナさんはこのように話していました。

まず、俳優がキャラクターに近づく方法はキャラクターごとに違う、ということ、
ある場合は、自分との同質性を見出したり、
ある場合は、想像力を動員したり、
ある場合は、遠くから見て、客観的にこれはただのキャラクターだと思ってなりきったり。
それぞれあるだろうと言っています。
しかし、ファン・ジョンミンさんの場合は、と続けています。

しかし、ファン・ジョンミンが
ある映画ではまるで田舎者のようで、
ある映画ではまるで怖いやくざ者のようである、
そういう感じがするのは、
この俳優が、その身体の中に、すべての顔を持っているからではないのか、
とそう思えるんです。

さらに、ファン・ジョンミンさんが自分の持っている顔や体の特徴を
役ごとにうまく使って、役を表現しているという話をしていました。
それが本当にリアリティがあり、その使い方が非常に上手い、
ということだそうです。
そして、このように話しています。

結局、それぞれの役の違う顔すべてが
一人の俳優の中にあるかのように思えるんです。
それらをとてもうまく使い、
またこれまでのイメージを記憶させないことが、
この俳優の技術です。

もちろん、ファン・ジョンミンという人間の中に、
これまで演じた多彩な人物がすべてが存在するわけではないので、
これはあくまでそう思わせるような演技をする、
ということだと思います。

つまり、ファン・ジョンミンさんは、
役になりきっていると言うより、
ファン・ジョンミンという俳優自身がその役のような人であるかのように思わせる、
そういうシンクロ率ということですね。

役になりきるカメレオン俳優というのは、
よく言われる話ですが、
ジョンミンさんの場合、
役を自分の個性に引き寄せ、溶け込ませることで、
リアリティを出す演技をしている感じなんですよね。

役を自分と同化させるために、
台本上の役を作り直す作業をしていることが、いろんなエピソードからも伺えます。
それこそが、どんな役をやっても、
リアリティが出るだけでなく、
ファン・ジョンミンさんの個性がにじみ出る人物にもなり、
観客たちをひきつける魅力にもなっている理由だと思います。

別のラジオで(こちらも後日ちゃんと紹介したいです~!)
「新しき世界」のパク・フンジョン監督が、
ファン・ジョンミンさんのことを

「ファン・ジョンミンは自由な魂の俳優だ。
キャラクターを自分に同化させる達人だ」

と言っていました。
そうなんです。
自分を役に同化させるんじゃなく、
役を自分に同化させるんですよね。

役を分析して、自分の個性に溶け込ませる、
その能力こそ、
ファン・ジョンミンという俳優の演技力の源ではないかと
そんな風に思います。

また、一般的に、俳優は当たり役というのがあって、
俳優の個性と役の個性がうまくマッチした役を演じた時、
すばらしい魅力が発揮されたり、
あるいは、だいたいこういう役がこの俳優には合っている、
というような、そんな役を多く演じて好評を得る、
ということもありますが、
ジョンミンさんは本当に多彩な役どころ、
どんな役をやっても、それぞれが当たり役のような魅力を発揮されていますよね。

「新しき世界」のチョンチョンや、
「ベテラン」のソ・ドチョル、
「アシュラ」のパク・ソンべ、
「コクソン」のイルグァン、
「ユア・マイ・サンシャイン」のソクチュンなどなど。
ジョンミンさんの演じる役柄は、
映画の中の役のあるべき姿の分析と、
ファン・ジョンミンという人間の個性とが見事に融合され、
演じられることによって、
どれもが魅力的な人物になっています。
まさにファン・ジョンミンという俳優のすばらしさなのだと思います。

 ペク・ウナのワンピック

ジョンミンさんの演じた役の中で、
ペク・ウナさんがワンピックを選ぶなら、ということで、選ばれたのが、
「甘い人生」のペク社長です。

ペク社長は本当に評価が高いんですよね。
特に評論家筋からはとても高く評価されているように感じます。

だいたい、印象に残る悪役というのは、
飛びぬけて暴力的だったり、残酷だったり、
またはぞっとするサイコパスだったり、
というのが普通だと思うのですが、
このペク社長って、めちゃくちゃ残忍なわけでもなく、
ラスボスでもない小物な悪役なのに、
なぜか目を引き付ける魅力があるんですよね…
ジョンミンさんの演じた中でも不思議な役だなあと思います。

とても短いがとても強烈に登場し、通り過ぎて行った、そんな役です。

このペク社長は、野卑で残忍な役なんですが、
これまでのファン・ジョンミンという俳優にはなかった
鋭いナイフのようなそんな感じがあって、
この役をもっともっと見たかったという思いが、
結局は「新しき世界」のような作品につながったのではないか、とそう思うんです。

さらに、ワンピックから漏れてしまったが、
この役は、という役としてあげたのが、
「コクソン」のイルグァンでした。

登場シーンがとても印象的だったようです。
門の横からスーッと入ってくる様子が、
普通ムーダンと言って思い浮かべる服装ではなく、
長い髪を後ろにまとめ、黒のタートルネックにジャケットで、
長い手足がどこか奇怪な感じさえした、とのこと。

「俳優はムーダンだ」という言う言葉、
あまりにも食傷気味によく使われる言葉がありますが、
「ファン・ジョンミンはムーダンだ、
ファン・ジョンミンは神がかっていた」
まさにそんな感じを受けました。

ファン・ジョンミンという俳優がほとんど
物語をクライマックスへと引き上げてくれた、
そんな風に感じられました。

イルグァンというキャラクターが、
パッと出てきて、強烈な一撃を放って、パッと引いていく。
「わあ~うまい! うまいなあ」と思いました。

 カン・ハナさんの好きな役

一方で、DJのカン・ハナさんは、一番好きな役を
「ユア・マイ・サンシャイン」のソクチュンと言っていましたね。

「ユア・マイ・サンシャイン」については、
あの面会室の名シーンもジョンミンさんのアイデアだったことについて、
ペク・ウナさんがこのような話をしています。

もともと面会室は人が会えない構造だそうです。
ですが、あのような場面を作りたいというこの俳優の意思が、
現実とは違うけれども
映画の中での現実として十分説得力のある
涙なしでは見られない場面を作り出したんです。

また、カン・ハナさんも、ジョンミンさんについてこんなことを言っていました。

もともと怖い役を見るのも好きなんですが、
私には、ファン・ジョンミンさんは、
「人間劇場」に出てきそうな、
実際に生きている実在の人たちの生活する姿を見せてくれて、
なぜか、何か悲しくなるんです。

「国際市場で逢いましょう」などで見せてくれる役ですね。
これは、私も結構うなずけるものがあります😊
ジョンミンさんというと、ヤクザな役とか、刑事の役とか、悪役とか、
結構強烈な役どころが有名ですが、
人生の悲しさを表現する役どころも、
とても上手で合っているので、
私もそういう役が大好きですね。

 「新しき世界」のチョンチョンについて

最後に「新しき世界」のチョンチョンについての話になりました。

やっぱりチョンチョンは本当に強烈な印象があったとのこと、
特に空港の登場シーンの格好が最高だったと言っています。

また、「ブロマンス」という言葉を
この映画によって知った人たちがとても多かったとのこと。

さらに、ペク・ウナさんはこんな話をしていました。

サングラスをかけてやって来て、
「ブランドものはいい」そう言いながら
「真っ黒で何も見えない」そんな悪態をついたりする、
あ~こんな演技は一体どこから出てくるんだ?
と、そう感心した記憶があります。

(ペク・ウナさん)
最後に、イ・ジャソンを生かすため、
チョンチョンが病院で、
「もういい加減に選べ」
「お前は俺が手におえるのか?」と言って
酸素マスクをすっぱりと離し、
見せたチョンチョンの表情があるんです。
その表情が、本当にロマンス(멜로)だなあと。

(カン・ハナさん)
愛(사랑)だ。

(ペク・ウナさん)
愛(사랑)だなあと、そう思いました。

はい、本当、愛でしたね💦

ちなみに、この最後の
チョンチョンが息を引き取るシーンは
ジョンミンさんも気に入りのシーンだそうです。
(気に入っている理由はなんか違いますが💦)

 おわりに

「俳優を学ぶ日曜日」ファン・ジョンミン編、
いかがでしたでしょうか?
結構、鋭い指摘も多くて、私もいろいろ楽しく勉強してしまいました😊

お二人の好きなジョンミンさんが
またそれぞれ違っていて、
本当にジョンミンさんは多彩な魅力を見せてくれる俳優さんだとあらためて思いましたね。

他の俳優の回も聞きたいと思ってはいるのですが…
なかなか聞けずにいます💦

でも、きっとそれぞれのファンの方には楽しい内容になっていると思いますので、
皆様もぜひ聞いてみてください。

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