【韓国映画】「7番房の奇跡」感想/リュ・スンニョン、パク・シネ

 「7番房の奇跡」あらすじなど

「7番房の奇跡」(2013年)

あらすじ
知的年齢が6歳程度の知的障害者であるイングは娘のイェスンと二人でつつましやかに暮らしていた。
ある日、イングは少女を強姦殺害したと疑われ、冤罪のまま刑務所に入れられてしまう。
娘に会いたいと願うヨングは、房長の命を助けたお礼として、同じ房の仲間たちにイェスンに会わせてほしいと頼む。

以下ネタバレありです

 心温まるファンタジーと残酷な現実のバランスに号泣です

私も大好きなリュ・スンニョンさん主演のヒューマン・コメディです。

タイトルが「奇跡」とありますが、
刑務所で主人公が娘イェスンと一緒に生活しちゃったりとか、
それを刑務官や他の囚人も黙認していたりとか、
そんなの現実じゃありえないでしょ!という展開になっていて
非常にファンタジー色の強い物語になっています。

もちろん、単純なファンタジーではなく、
心温まるファンタジー部分と非情なリアルの部分とのバランスが絶妙なんですね。
だからこそ夢のようなファンタジー部分にすごくほっこりしたり
主人公のさらされる非情な現実にたまらず涙がこぼれてしまいます😢

主人公のイングは知的障害者で6歳ぐらいの知能しかないのですが、
娘のイェスンと二人で幸せに暮らしていました。
そんな、イングが冤罪で刑務所に入ることになり、イェスンは一人ぼっちに。
イェスンに会いたいというイングの願いを聞いて
同じ房の囚人たちはイェスンを7番房に忍び込ませます。

刑務所の中で暮らすイングとイェスンの二人の無邪気な姿は本当に癒されます。
二人にとっては互いがいれば、そこが刑務所だろうが、どんな場所であろうが幸せなんですよね。
家族が側にいて、一緒に暮らせればそれだけで二人にとっては十分なんです😊

イングは知的障害があり、無実なのに刑務所に入れられて
本当ならひどい人生なんだと思います。
でも、イェスンと一緒にいるイングは誰よりも幸せに見えます。
娘をイングに殺された(と思っている)警察長長官や元受刑者に子供を殺された刑務官との対比が残酷ですね。

イェスンと暮らすために、房の囚人たちの協力のもと、
イングは裁判で無実を訴えようとしますが、
被害者の親や弁護士からもイェスンを殺すと脅されて罪を認めてしまいます。
罪を認めて「ごめんなさい。イェスンを助けてください」と
ただひたすらつぶやくイングの姿が何ともやりきれないです。

当然のごとく判決は死刑。
でも、イングにはその日が訪れるまでその本当の意味が分からない。

死刑執行日が近づいても無邪気なイングとイェスン。
7番房の囚人仲間は二人を脱走させようと企てます。
クリスマスソングの合唱の中、実行された脱走計画はとても美しく切ない名シーンです😢

そして、死刑執行の日、イェスンはもちろんそのことを知りません。
しばしのお別れだと思っている。
イングも分かってはいても、本当の意味ではその意味を理解していないのです。

本当にイェスンとの最後の別れだと悟り、
イングは「すみませんでした。助けてください!」と叫びすがる。
ここでそれくるか~って思わず号泣。
イングも辛いんだけど、どうすることもできない、刑務官たち、7番房の仲間たちの姿が本当に胸に突き刺さります😢

 リュ・スンニョンさんは普段とはまるで別人のようでした

イングを演じたリュ・スンリョンさんは私の知っているスンリョンさんとは別人のように見えました。
どちらかというと強面のというか、男っぽい役柄が多い役者さんというイメージが強かったのですが、
視線や表情、仕草など、知的障害としての演技もリアルでしたし、
無邪気な子供のような天使っぷりにびっくり!

時にふと、真面目な表情を見せたりして
思わずはっとさせられるところが上手だなあと感心してしまいました。

また、娘のイェスン役を演じた子役のカル・ソウォンちゃんがすごく可愛くて、本当に名演ですね😊(最近、イ・ソンミンさんの娘役で出演されてましたね~)
成長してからのパク・シネさんも綺麗でしたが、やっぱり子役さんが印象に残りました。

 二人の姿が周囲の人びとを癒し、変えていく「奇跡」の物語

実はこの映画で、私が何よりも印象深かったのは、主役二人を取り巻く人々。
特に7番房の仲間たちが皆個性的で、彼らの存在が映画に陽気な雰囲気、笑いとユーモアを与えてくれていますね。

オ・ダルスさん演じる房長ヤンホ。

暴力団の組長で房を仕切っているのですが、ひょんなことからイングに命を助けられ、
そのお礼としてイングの願いを叶え、イェスンを刑務所に連れて来ます。
やがて、子供のような二人の純粋な姿に心動かされ、ヤンホ自身変わっていきます。
イェスンに絵本を読むようせがまれるヤンホは実は字が読めません。

その後、皆にからかわれながらも、懸命に字を覚え、イェスンからの手紙を一文字ずつ読もうとするシーンは心和みます。
本当に、オ・ダルスさんって不思議な存在感ですよね。唯一無二だなあって思います😊
その他、チョン・マンシクさん演じるボンシク。
キム・ジョンテさん演じるマンボムなど、個性的な7番房の面々がいい味出しています。

そして、チョン・ジニョンさん演じる(国際市場のお父さんだ〜)刑務所の保安課長。
元受刑者に子供を殺された過去を持つ彼は、最初イングに冷酷な態度を取っていますが、
火事の際イングに助けられたことから、イングに好意を持つようになります。
イングとイェスンの姿に次第に過去の傷が癒されていく変化に心打たれますね😢

この映画はもちろんイングとイェスンの親娘の絆、愛情がとても素晴らしいテーマなんでしょうけれど、
二人の姿は私にはただの親子というよりも、互いの愛情が最高の幸福である、無邪気な二人の子供のように見えました。
愛してるぜ、天使ーーー死刑の日、房の皆がイングの背中に書いた言葉。
一途で純真な二人の姿が、周囲の人々の変え、心を温かくし、幸せを運んでくれる。
それこそが、まさしく「奇跡」なのだろうなあとーーー
見ている人たちの心も温かくしてくれるそんな映画でした😊

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